
災害が起きたとき、避難情報や気象情報を届けてくれる自治体の防災メール。
いざというときに頼りになるサービスですが、その情報配信を支える事業者が不正アクセスを受け、登録者の個人情報が漏洩した可能性があるという、見過ごせない問題が発生しています。
2026年10月16日、さいたま市は防災情報配信システムに関する情報を更新し、メールアドレスなどの漏洩状況を公表しました。京都市や山口市なども関連する注意喚起を行っており、今回の問題は一つの自治体だけにとどまっていません。
「防災メールに登録しただけなのに、どうして個人情報が危険にさらされるの?」
そう感じる方もいるでしょう。
今回の記事では、自治体の公式発表をもとに何が起きたのかを整理し、個人情報が悪用される可能性や、今すぐ確認しておきたい具体的な対策を分かりやすく解説します。
防災メールに何が起きた?10月16日までに判明した事実
今回、不正アクセスを受けたのは、自治体の防災情報配信サービスを提供する株式会社アルカディアのネットワークです。
さいたま市の発表によると、10月11日午後4時30分に不審な挙動が確認され、翌12日に侵入経路を塞ぐ応急措置が取られました。その後、13日には第三者による不正アクセスと個人情報漏洩の可能性が公表されています。
注目したいのは、自治体が個別に攻撃されたという単純な話ではなく、複数の自治体が利用するサービスの提供事業者で問題が発生したことです。
さいたま市が公表した情報
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| 項目 | 2026年10月16日時点の公表内容 |
|---|---|
| 不正アクセスの確認 | 10月11日に不審な挙動を確認 |
| 対象事業者 | 株式会社アルカディア |
| 防災行政無線メール | 34,783件のメールアドレス |
| 上記のうち | 市職員の氏名と紐づく195件 |
| 災害時防災情報電話サービス | 73件の氏名、電話番号またはFAX番号 |
| 影響範囲 | 引き続き調査中 |
さいたま市は、登録者への注意喚起を実施するとともに、詳細が判明した場合は続報を公表するとしています。
出典:さいたま市|防災情報配信システムの不正アクセスに伴う個人情報漏洩の可能性発生について
京都市・山口市・葛飾区でも関連する発表
京都市は10月14日、災害時一斉情報配信サービスの運営事業者が不正アクセスを受け、個人情報漏洩の可能性が生じたと発表しました。
京都市が挙げた対象情報には、自主防災会関係者の学区名や電話番号、FAX番号、市職員の所属情報や連絡先などが含まれています。
ただし、京都市は発表時点で情報の流出は確認されていないと説明しています。漏洩の可能性があることと、実際に流出が確認されたことは、区別して理解しなければなりません。
山口市も10月14日に注意喚起を掲載し、自治体や事業者を装った不審なメールへの警戒を呼びかけています。
さらに葛飾区は10月16日、同じサービス提供事業者への不正アクセスについて公表し、区における情報漏洩は確認されていないと説明しました。登録対象には個人登録者333件の氏名、電話番号、FAX番号が含まれています。
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| 自治体 | 公表日 | 確認しておきたい内容 |
|---|---|---|
| さいたま市 | 10月16日更新 | 登録情報の漏洩状況、利用者への注意喚起 |
| 京都市 | 10月14日 | 漏洩の可能性、対象情報、サービス停止 |
| 山口市 | 10月14日 | 登録者への不審メール対策 |
| 葛飾区 | 10月16日 | 対象登録情報と調査状況 |
これらは各自治体の公表内容であり、対象者数を単純に合算して全国の被害規模とすることはできません。
重要なのは、同じ事業者のサービスを利用している自治体に影響が及ぶ可能性があるという点です。
なぜ防災メールの情報漏洩が危険なのか?特殊詐欺との関係
メールアドレスや電話番号が漏洩した可能性があると聞いても、「銀行の暗証番号が知られたわけではないから大丈夫」と考える方がいるかもしれません。
しかし、メールアドレスや電話番号は、犯罪者が相手に接触するための入口になり得ます。
たとえば、防災情報を受け取っている人に対して、自治体の担当部署を装ったメールを送れば、受信者が内容を信じてしまう可能性があります。
今回の事件に関連して、実際にそのような詐欺が広く発生したと確認されたわけではありません。ただし、京都市や山口市も不審な連絡への警戒を呼びかけています。
想定しておきたい不審な連絡
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| 不審な連絡の内容 | 注意すべき理由 |
|---|---|
| 「防災メールの登録情報を再確認してください」 | 偽サイトへ誘導して個人情報を入力させるおそれ |
| 「システム復旧のため、こちらのURLを開いてください」 | 不正なリンクや添付ファイルを開かせるおそれ |
| 「本人確認のため口座情報を教えてください」 | 金融情報を聞き出す手口の可能性 |
| 「市役所の職員です。至急対応してください」 | 行政機関を名乗って判断を急がせる可能性 |
| 「防災サービスの更新費用を支払ってください」 | 根拠のない金銭要求の可能性 |
※上記は注意すべき不審連絡の例であり、今回の事件で実際に確認された詐欺文面を示したものではありません。
正規の防災メールと偽メールをどう見分ける?
送信者名に自治体名が表示されているだけでは、安全なメールとは判断できません。
メールの表示名は偽装される場合があるため、「市役所」「防災課」「災害情報センター」といった名称だけを信用することは避けたいところです。
確認するときは、メール本文のリンクを押すのではなく、普段利用している検索方法やブックマークから自治体の公式サイトを開き、同じ案内が掲載されているか調べましょう。
また、公式サイトに案内が見つからない場合は、サイトに掲載された代表電話番号や担当部署の連絡先から問い合わせる方法もあります。
不審なメールに記載されている電話番号へ、そのまま連絡することは避けてください。
防災メールに登録している人が今すぐ確認したいこと
今回のニュースを見て、防災メールの利用をやめようと考える方もいるかもしれません。
しかし、防災情報は大雨、洪水、地震などの危険を知るための重要な情報源です。
個人情報漏洩の可能性があるからといって、すべての防災メールを一律に解除することが最善とは限りません。
むしろ、利用しているサービスの状況を確認しながら、不審な連絡への対応方法と、災害情報を受け取る別の手段を準備することが大切です。
STEP1|登録している防災サービスを確認する
まず、スマートフォンやパソコンの受信メールを確認し、自分がどの自治体の防災メールに登録しているかを整理してください。
現在住んでいる地域だけでなく、以前住んでいた地域や、離れて暮らす家族のために登録した自治体の情報が残っていることもあります。
STEP2|自治体の公式発表を確認する
登録先の自治体が今回の不正アクセスについて発表しているか、公式サイトで確認しましょう。
情報漏洩の可能性がある対象サービス、登録情報の種類、現在の運用状況は自治体によって異なります。
同じ事業者を利用していても、全自治体で同じ情報が漏洩したと断定することはできません。
STEP3|不審なメールやSMSを開かない
防災情報の登録確認、サービス再開、本人確認などを理由に、URLへのアクセスや個人情報の入力を求める連絡には注意が必要です。
心当たりのないメールやSMSに記載されたリンクを開かず、自治体の公式サイトから情報を確認してください。
STEP4|離れて暮らす家族にも知らせる
高齢の家族が災害時防災情報電話サービスなどを利用している場合は、今回の問題を分かりやすく伝えておくことも重要です。
「市役所から電話が来ても、その場で口座番号や暗証番号を答えない」「急いで手続きするよう言われても、一度電話を切って家族に確認する」といった具体的な約束をしておくと、突然の連絡にも対応しやすくなります。
STEP5|災害情報の受信方法を複数用意する
京都市は、今回の問題に伴って対象の情報配信サービスを停止していると公表しています。
このように、普段利用している防災サービスが一時的に使えなくなる可能性も考えておかなければなりません。
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| 情報の入手方法 | 確認する内容 |
|---|---|
| 自治体の公式サイト | 避難情報、避難所、災害対応 |
| 気象庁の公式サイト | 気象警報、雨雲、地震情報 |
| テレビ・ラジオ | 緊急時の広域情報 |
| 自治体の公式アプリ等 | 提供されている地域の防災情報 |
| 家族間の連絡手段 | 安否確認、避難先の共有 |
防災メールだけに頼らず、複数の情報源を用意しておくことで、システム障害や通信トラブルが発生した際にも対応しやすくなります。
不審な連絡が届いたら?状況別の対処方法
不審なメールや電話を受け取ったときは、何をしてしまったかによって対応が変わります。
メールを受信しただけなのか、リンクを開いたのか、個人情報を入力したのか、送金してしまったのかを整理することが大切です。
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| 状況 | 取るべき対応 |
|---|---|
| 不審なメールを受信しただけ | リンクや添付ファイルを開かず、公式情報を確認 |
| メール内のリンクを開いた | 追加操作を中止し、不審な入力やダウンロードがなかったか確認 |
| パスワードを入力した | 正規サイトから速やかに変更し、使い回しているサービスも確認 |
| 口座・カード情報を入力した | 金融機関やカード会社へ連絡し、利用状況を確認 |
| 金銭を送ってしまった | 直ちに金融機関と警察へ相談 |
| 不審な電話が続いている | 通話内容や着信履歴を保存し、警察へ相談 |
パスワードを変更する場合も、不審なメール内のリンクから変更画面を開いてはいけません。
正規のアプリや公式サイトからログインし、パスワード変更や多要素認証の設定を行ってください。
また、すでに金銭を振り込んでしまった場合は、対応が早いほど被害拡大を防げる可能性があります。送金先の金融機関や警察に速やかに連絡しましょう。
緊急の事件・事故は110番、緊急性のない警察相談は警察相談専用電話「#9110」が目安です。
今回のニュースから考える「防災」と「個人情報」の守り方
今回の出来事で考えたいのは、個人情報を守ることと、災害から命を守ることが、決して別々の問題ではないという点です。
防災情報を届けるサービスは、多くの人が安心して暮らすために必要な仕組みです。
その一方で、メールアドレスや電話番号などを登録する以上、サービスを提供する事業者の情報管理やシステムの安全性も重要になります。
私たち利用者が事業者のセキュリティ対策を直接管理することはできませんが、自治体の公式発表を確認し、不審な連絡を見分け、災害情報の入手先を複数用意することはできます。
特に、家族のために防災メールを登録している方は、自分だけでなく家族全員が不審な電話やメールへの対応方法を知っているか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
日々是好日記では、今回のように一見すると専門的で難しそうなニュースも、日々の暮らしに置き換えながら考えていきたいと思います。
防災情報を受け取る安心と、個人情報を守る安心。その両方を大切にすることが、これからの暮らしには必要です。
参考資料・出典
以下は今回の記事で参照した自治体の公式発表です。
- さいたま市|防災情報配信システムの不正アクセスに伴う個人情報漏洩の可能性発生について
- 京都市|災害時一斉情報配信サービスの運営事業者への不正アクセスによる個人情報漏洩の可能性について
- 山口市|防災情報配信サービスにおける不正アクセス事案に関するお知らせ
- 葛飾区防災ポータル|災害情報発信システム提供事業者への不正アクセスに伴う個人情報漏洩の可能性について
- 株式会社アルカディア|SpeeCAN RAIDENに関するお知らせ
- 気象庁|公式サイト
- 警察庁|公式サイト
情報確認日:2026年10月16日
※本記事は同日時点の自治体発表に基づいて作成しています。個人情報の漏洩状況や影響範囲、サービスの復旧状況は今後変更される可能性があります。最新情報は各自治体およびサービス提供事業者の公式発表をご確認ください。

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