新紙幣発行の初日。
新1万円札の「顔」となった渋沢栄一ゆかりの地などでは、
新札を求めて人々が朝から列をつくったという。
埼玉りそな銀行さいたま営業部では午前10時から両替がスタート。
7時半から並びATMでの両替に一番乗りした人は、
「歴史的瞬間に立ち会えてうれしい。電子決済も利用するが、流通したら自販機でぜひ使いたい」と語った。
また、ある人は、
「見慣れなくて新鮮。外国のお札のようだ」と話した。
その人の次男が慶応大に通っているといい、
「大学創設者の福沢諭吉が1万円札から消え残念だが、新札を見せたら喜ぶのでは」
とほほ笑んでいた。
日本銀行本店(中央区)に午前7時前から並んだ人は、
発行に合わせ北海道から来たという。
傷んだ紙幣との交換で新紙幣を入手し、
「わくわくしている。うまく流通して日本経済が良くなれば」と期待していた。
約6時間並んで一番に両替した人は、
「きょうの紙幣は特別。家に飾りたい」と笑顔が見られた。
一万円札
5000円札
1000円札
新札を発行する最大の目的は、偽造防止の強化にあるという。
一般に、新札発行から時間が経過すると、技術が陳腐化し、偽造のリスクが高まる。
そこで今までも、20年に1回程度の頻度で新札が発行されてきた。
今回の新札には、肖像が三次元に見えて回転する「ホログラム」など、最先端の技術が利用されている。
加えて、誰でも利用しやすい「ユニバーサルデザイン」の導入も目的の一つだ。
指で触って券種を識別できる工夫や、額面の数字を大きくし、
券種を識別しやすくする工夫などが施されているという。
新札が発行されると、自動販売機、ATM、セルフレジなどを保有する業者は、
新札に対応するように、新しい機種への入れ替えやシステムの改修を迫られる。
これは、当該業界にとっては大きな負担となるが、一方でこれが、新札発行が生み出す経済効果でもある。
財務省の試算によれば、
新紙幣・硬貨を見分けるため、紙幣のデザイン刷新への対応で約7,700億円、
500円硬貨の素材・細かな形状変更への対応で約4,900億円、
合計で1兆2,600億円のコストがかかる見込みという。
2021年に発行された新500円硬貨については、
今回の新札発行のタイミングに合わせて、
新機種購入やシステム改修などの対応をすることを決めた業者が少なくない。
その結果、新500円硬貨に対応した自動販売機は全体の7割程度にとどまるという。
さらに、ATMの新札対応コストは全体で約3,709億円と推定されている。
合計すると、新札発行への対応コストは約1兆6,300億円となる。
それは、年間の名目GDPを+0.27%程度押し上げる経済効果となる計算だというから、
すごい数字なのだ。
また新札発行には、キャッシュレス化を後押しする効果があるとの指摘もあるが、
実際には、その効果は大きくないだろうという見方が強いようだ。
新札対応のコストを節約するために、販売機などで新札対応を行わない業者は一定数あるだろう。
あるいは、この機会に現金でなくキャッシュレスのみに対応する機種に入れ替える業者もあるかもしれない。
実際、そういう状況も今生まれてきているというニュースも見た。
しかし、大手を中心に多くの業者は新札対応を行うとみられる中、
一部の店舗の機種で新札が使えないからと言って、
現金利用をキャッシュレスに切り替える人が、果たしてどれほど出てくるだろうか。
まだまだ、未知数と言っていい。
新紙幣に変わろうが、変わるまいが、キャッシュレスは進んでいる。
紙幣が新しくなったために、紙幣を使うのも最初だけの感が否めない。
新しいから使うだけであって、見慣れてくると、
やはりキャッシュレスを利用する人が圧倒的に多い気がする。
高齢者を中心に高まっている、タンス預金といった資産を使用せずにしまい込む傾向は、
なんと現在109兆円にも上り、過去最高となっている。
租税回避のきっかけにもなりうるタンス預金を解消することで人々の消費を促進する効果が期待されている。
また、新紙幣の導入によって企業、特に小売業者は大きな負担となることから、
紙幣の刷新をきっかけに業者側を主体としたQRコード決済や、
クレジットカード決済などの普及が見込まれるといわれています。
主要各国から遅れているキャッシュレス化において、
少しずつ改革をすることが日本に求められている感じがします。
2024年から使用される新紙幣は、
今月までに合計45億3000万枚が印刷される予定。
多額を注ぎ込んで生産される新紙幣には様々な利点があることが分かる。
ぜひ紙面に描かれている偉人達を意識して、新紙幣を使ってみたいものです。
コメント欄