なぜ“天才”根尾昂はまだ大ブレイクしていないのか?―大阪桐蔭“最強世代”と同期比較から見える“伸び悩み”の真相とは―


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はじめに

大阪桐蔭で春夏連覇、“スーパー中学生”から甲子園のスターへ。
そして2018年ドラフトで4球団競合の末、中日ドラゴンズに1位指名――。

「根尾昂」という名前には、今も特別な響きがあります。

一方で、同じ大阪桐蔭出身の
・オリックスの主力捕手・森友哉
・ロッテでレギュラーを掴みつつある外野手・藤原恭大

と比べると、

「根尾はいつになったら大活躍するんだ?」
「同期と差がついてしまったのでは?」

と感じるファンも多いのではないでしょうか。

この記事では、できるだけ冷静に、
・客観的な成績
・各種メディアの解説や評論
・根尾本人のインタビュー

などをもとに、「なぜ、まだ“期待値どおり”の結果が出ていないように見えるのか」を整理してみます。

※補足 決して誹謗中傷ではなく、「一ファンとしての分析」として書きます。数字や事実は、NPB公式や新聞・専門サイトなど、信頼できる情報源を基準にしています。


第1章 根尾昂という男:プロフィールと“エリート家族”

1-1 基本プロフィール

  • 名前:根尾 昂(ねお あきら)
  • 出身地:岐阜県飛騨市(旧・吉城郡河合村)
  • 生年月日:2000年4月19日(現在25歳)
  • 身長・体重:177cm / 84〜85kg前後
  • 投打:右投左打
  • 経歴:古川西クラブ → 飛騨高山ボーイズ → 大阪桐蔭高校 → 中日ドラゴンズ(2018年ドラフト1位)  参考:ウィキペディア

1-2 驚異の“エリート家族”と文武両道エピソード

根尾の“特別さ”は、野球の才能だけではありません。

  • 両親はともに自治医科大学出身の医師で、岐阜県飛騨市で地域医療に従事。ウィキペディア
  • 兄は岐阜大医学部出身で医師、姉は富士大医学部看護科を出て看護師として働いていると紹介されています。legit-baseball.com

まさに“家族全員が医療系エリート”という環境です。

本人も学生時代の成績はオール5、中学で生徒会長、高校では大阪桐蔭でただ一人、最上位クラスに在籍しながら野球部の主力を務めていたとされています。

さらに、

  • 小学生時代:ソフトボール投げ全国1位、陸上全国大会5位
  • 中学時代:スキー男子大回転の全国優勝&国際大会出場

など、“マルチ競技で日本トップクラス”の実績が並びます。スポーツ情報発信局

この“万能ぶり”こそが、後の「投手か野手か」「どこで使うべきか」という議論の源泉にもなっていきます。


第2章 大阪桐蔭“最強世代”とドラフト1位の期待

2-1 春夏連覇を支えた“3刀流”

大阪桐蔭進学後、根尾は

  • 遊撃手
  • 外野手
  • 投手(最速150km/h)

をこなし、2年春から3年夏まで4季連続で甲子園出場。そのうち、

  • 2年春
  • 3年春
  • 3年夏

で優勝し、史上屈指の“最強世代”の一角として春夏連覇に貢献しました。ウィキペディア

同学年には

  • 外野手:藤原恭大(ロッテ)
  • 投手:柿木蓮(日本ハム→育成)
  • 投手:横川凱(巨人・育成)

らがいて、4人全員がドラフト指名を受けた“スター軍団”。Yahoo!知恵袋

2-2 「どこの球団が、投手で?野手で?」の論争

当時のメディアでは、

「投手か野手か、どちらでプロ入りさせるべきか」

が最大のテーマの一つでした。
150km/hの直球と、遊撃手としての身体能力を併せ持つ“二刀流選手”であり、まさに何でもできるがゆえに選択が難しい選手だったのです。ウィキペディア

結果として、2018年ドラフト会議では4球団競合の末、中日が交渉権を獲得。スポーツ情報発信局

中日は「内野手(遊撃手)として育成」という方針でプロ生活がスタートしました。


第3章 プロ入り後のキャリアをざっくり振り返る

3-1 野手時代:ケガとポジション変更の連続

1年目(2019年)

  • キャンプ前に右ふくらはぎ肉離れ。1軍キャンプは二軍スタートに。
  • その後も指の負傷や肘の張りで離脱を繰り返し、一軍出場はわずか2試合。二軍では打率.210と、打撃は苦戦しました。ウィキペディア

2〜3年目(2020〜2021年)

  • 遊撃だけでなく外野も守りながら、一軍での出場機会を増やそうと試行錯誤。
  • 3年目の2021年には主に外野手として一軍72試合に出場しながら、打率.178と打撃面では伸び悩みが続きます(通算打率.174)。baseball.yahoo.co.jp

当時のコラムでは、

「使いながら育てる」
「不調が話題になるのは一流の証拠」

など、長い目で見て育てるべきという論調も多く見られました。

しかし結果としては、

  • ケガ
  • 打撃フォームの試行錯誤
  • 守備位置の変化

が重なり、「“ショート根尾”として腰を据えて育てる時間」が十分に取れなかったのは事実です。

3-2 電撃の「投手転向」

2022年シーズン途中、立浪監督は根尾を投手登録に変更日刊ゲンダイDIGITAL

  • 敗戦処理ながら150km/hを連発し、最速154km/hを計測。
  • 2025年には自己最速155km/hを記録するまでになりました。ウィキペディア

一方で、

  • 野手としては事実上の「クビ」
  • 起用方針がブレているのではないか

といった厳しい評論も多く、フロントの育成方針への批判が強まったのもこのタイミングです。

元監督の森繁和氏も、2025年のインタビューで

「最初から投手として育てておくべきだった」
「球団は反省すべきだ」

と、方針の一貫性のなさに苦言を呈しています。

3-3 投手としての現状

投手転向後の一軍成績(2024年までのNPB公式)は、ざっくりまとめると

  • 2022年:25試合登板、防御率3点台前半(リリーフ中心)
  • 2023年以降:先発挑戦も含め登板機会は限定的で、2024年は3試合登板、防御率9点台と結果を残せず。ウィキペディア

ただし二軍では

  • 先発中心で防御率2点台前半〜中盤のシーズンもあり、
  • 球速や変化球の質は確実に向上している

といった報道もあり、「二軍では通用しているが、一軍ではまだ安定しない投手」という位置づけになっています。baseballdata.jp


第4章 「全く活躍できていない」と感じられる理由

数字の面だけを見ると、ファンのモヤモヤも無理はありません。

4-1 一軍でのインパクト不足

  • 野手としての通算打率:.174、本塁打1本、出場試合数141試合。
  • 投手としての登板試合数は、リリーフ&スポット先発が中心でまだ少なく、年間を通してローテーションを守った経験はありません。ウィキペディア

「ドラフト4球団競合のスター」「大阪桐蔭春夏連覇の英雄」という期待値からすると、どうしても

「もっとバリバリの一軍の主力になっていてほしい」

という感情が先に立ちます。

4-2 「ポジションが定まらない=評価が定まらない」

  • 遊撃手
  • 外野手
  • 一時は「二刀流」構想
  • そして投手専念へ

と、短期間に役割が何度も変わったため、ファンから見ると

「結局、何で勝負している選手なのか分かりづらい」

という印象を与えてしまっています。CBC web〖CBC公式ホームページ〗


第5章 根尾昂が“伸び悩んだ”とされる主な要因

ここから、本題の「なぜ活躍が遅れているのか?」の分析に入ります。
あくまで、公開情報をもとにした“仮説の整理”です。

5-1 要因① プロ入り直後のケガによるつまずき

  • 1年目キャンプ前の右ふくらはぎ肉離れ
  • シーズン中の指や肘の故障

によって、「1年目から1軍で経験を積ませる」プランが崩れたことは、大きな誤算でした。

高校からプロに入った野手は、

  • とにかく打席数・守備イニングを積み重ねることで成長するケースが多い

のですが、根尾の場合は

  • 怪我で出遅れ
  • 二軍でもケガ再発で離脱

といったことが続き、「量」をこなす時期が削られてしまったと言えます。

5-2 要因② ポジション問題と育成方針の迷走

評論家や元監督たちが最も問題視しているのがこの点です。

  • 入団時:遊撃手として育成
  • 途中:外野にも挑戦させる
  • さらに:二刀流案 → 途中から投手専念へ

という流れは、

「一貫性を欠いた起用」「迷走」との批判も多い
と報じられています。

ポジションが変わるたびに、

  • フットワーク
  • 送球の角度
  • 打撃への負担

などが変わり、一つのポジションで腰を据えて守備・打撃を詰める時間が短くなります。

もちろん、球団としては

「どこかでハマれば…」
という思いもあったでしょうし、本人の器用さがあるからこその決断でもありました。

しかし結果だけを見ると、

  • 野手としても中途半端
  • 投手としても、まだ育成途上

という“どっちつかず”の印象になってしまい、本人にとっても決して楽な道ではなかったはずです。

5-3 要因③ 打撃フォームの試行錯誤とNPB投手への適応

高校時代の根尾は

  • 広角に打ち分けるバットコントロール
  • パワーとスピードを兼ね備えた“万能型打者”

として評価されていました。ウィキペディア

しかし、

  • 木製バット
  • ストレートの質・変化球のキレ
  • インサイド攻め

など、NPBのレベルでは「高校までの打ち方」では通用せず、
フォーム改造を繰り返す中で自分の形を見失ってしまった可能性があります。

これは根尾に限らず、甲子園スターがプロで苦しむ典型例のひとつですが、
ポジション変更も重なり、「打撃だけに集中する時間」が短かったことも、適応を遅らせる要因になったと考えられます。

5-4 要因④ チーム事情とプレッシャー

中日はここ数年、

  • 打撃不振
  • 若手野手の伸び悩み
  • チームとしての得点力不足

に悩まされてきました。

その中で、「スター根尾」に対する期待値は非常に高く、

  • ファン・メディアからの注目
  • 地元中日新聞エリアでの話題性

も相まって、“特別枠”的な扱いと批判的な視線の両方が常に付きまとってきました。

「結果が出なければ叩かれ、出ても“もっとやれるはずだ”と言われる」

という環境は、どんな若手選手にとっても簡単ではありません。

5-5 要因⑤ “天才”イメージとのギャップ

  • 文武両道
  • 複数競技で全国レベル
  • 甲子園春夏連覇

という華やかな経歴があるからこそ、

「すぐにプロでもスターになるだろう」

という“天才イメージ”が先行しがちでした。

しかし実際には、プロの世界は

  • 「才能」+「環境」+「ポジションの適性」+「運」

が複雑に絡み合う厳しい世界です。

大阪桐蔭“最強世代”全体を見ても、

つまり、「根尾だけが特別にダメなわけではない」ということも、冷静に押さえておく必要があります。


第6章 森友哉・藤原恭大との比較で見える“違い”

6-1 そもそも森友哉は「同期」ではない

まず前提として整理しておきたいのがここです。

  • 森友哉:1995年生まれ。大阪桐蔭出身だが、2013年ドラフト1位で西武入団。すでにMVPやベストナイン多数の“完成された主力捕手”。ウィキペディア
  • 根尾昂・藤原恭大:2000年生まれで、2018年ドラフト1位

つまり、

「同じ大阪桐蔭出身」ではあるものの、プロ入りのタイミングも年齢も森は5歳上の先輩です。

「年齢・キャリアの長さ」が違う中で、単純比較してしまうと、どうしても根尾が見劣りしてしまいます。

6-2 藤原恭大との比較:時間はかかったが、ようやくレギュラー格へ

藤原恭大の個人成績(ロッテ)は、

  • 通算打率:.250
  • 2023年以降、出場試合数100試合超・打率2割後半のシーズンも記録し、徐々にレギュラー格へ。NPB.jp 日本野球機構

しかし、

つまり藤原も、

「いきなり一軍のスターになった」のではなく、
「我慢強く使われながら、少しずつ壁を乗り越えてきた」

というタイプの選手です。

6-3 森友哉との最大の違い:役割と育成の一貫性

森友哉は、

  • 入団時から一貫して捕手(+打てる中軸)として育成され、
  • 西武時代には2019年に打率.329&本塁打23本でMVP受賞。複数回ベストナインを獲得。ウィキペディア

「捕手」というポジションは

  • チーム事情的に“打てれば超貴重”
  • 守備がある程度計算できれば、多少打撃に波があっても使われやすい

という特性があり、森の打力とマッチしたことも大きいといえます。

一方、根尾は

  • 遊撃/外野 → 二刀流案 → 投手専念
    と扱いが変わり、「これで勝負」という軸が揺れ続けました。

同じ“大阪桐蔭のスター”として比較されがちですが、

  • 年齢
  • ポジション
  • チーム事情
    がまったく違うため、単純比較はそもそもフェアではない、という視点も忘れてはいけません。

第7章 それでも光る「投手・根尾」の可能性

ここまで「伸び悩みの理由」を整理してきましたが、
悲観一色かと言えば、決してそうではありません。

7-1 150km/h台を投げる“元ショート”という希少価値

  • 投手転向後、最速154km/h(2022年)、155km/h(2025年)を計測。
  • スライダー・フォーク・カットボール・ツーシームなど、球種も増やしつつあります。ウィキペディア

“元野手・元ショート”の投手で150km/h超を投げられる選手は極めて稀で、

  • フィジカル
  • フィーリング
    のポテンシャルは、未だに球界トップクラスと言っていいレベルです。

7-2 本人のメンタリティは前向き

2024年のインタビューでは、

「野手としてやりきった感じはない」
と本音を明かしながらも、
「自分の中では全部が繋がっている」

と語り、“投手として生きていく覚悟”をにじませています。Number Web – ナンバー

  • ピッチャーとして沢村賞を目標に掲げる
  • 先発として打席にも立ち、打者としての楽しさも追い続けたい

というスタンスは、挫折続きでも前を向き続ける根尾の人間性をよく表しています。

写真イメージ②
・ブルペンで真剣な表情で投げ込む根尾
・大阪桐蔭時代、バットを握って笑顔の根尾+藤原のツーショット

こうした写真を挟むことで、「数字以上の魅力」が伝わりやすくなります。


第8章 これから根尾昂が“開花”するために必要なこと

ここからは、完全に「一ファンとしての提案」です。

8-1 “投手・根尾”としての役割を明確に

  • 「リリーフなのか、先発なのか」
  • 「1イニング全力型なのか、長いイニングを投げる先発なのか」

ここを球団として明確に定め、数年単位で腰を据えた育成が必要だと感じます。

  • 二軍ではローテーションの柱として先発を多く経験させる
  • 一軍ではまずは中継ぎで慣らし、徐々に先発へ
    など、段階的なプランが見えれば、ファンの見方も変わってくるでしょう。

8-2 シンプルな武器の確立

  • 155km/hのストレート
  • スライダー or フォーク

といった、

「これさえ投げ込めれば、NPBの打者にも通用する」という“核となる配球”

を、まずは1パターンでもいいのでガッチリ固めることが重要です。

「なんでもできる」選手であるがゆえに、

  • 球種を増やし過ぎる
  • いろいろ試しているうちに軸がぼやける

というリスクもあるため、

「まずはこれだけ」
というシンプルさを最優先してほしいところです。

8-3 チームとして“長期目線”で見守る覚悟

元中日監督・森繁和氏が指摘したように、

「起用方針の反省」はすでに球団内でも共有されているはずです。Full-Count(フルカウント) ― 野球ニュース・速報・コラム ―

だからこそ、今後は

  • 1年、2年で結果を急ぎすぎない
  • 二軍と一軍の役割を明確にしながら、成長曲線を描く

という“長期目線”が不可欠です。

25歳の投手というのは、

  • まだまだ「伸びしろの塊」
  • 多くの投手がブレイクするのは27〜30歳あたり

であることを考えると、今がようやく“土台作りの完成期”とも言えます。


おわりに:まだ物語の途中にいる“根尾昂”

ここまで見てきたように、

「根尾が全く活躍できていないのは、根尾本人の“怠け”や“メンタルの弱さ”ではない」

ということは、データと経緯から十分に読み取れます。

  • プロ入り直後のケガ
  • ポジション転々による育成の難しさ
  • チーム事情と期待値の高さ
  • 甲子園スター特有の“天才イメージ”とのギャップ

これらが重なった結果、

「数字だけを見ると物足りなく見えてしまう」
という状況になっている、と整理できるのではないでしょうか。

一方で、

  • 155km/hを投げる元ショート
  • 文武両道で努力を積み重ねてきた人格
  • 未だ25歳という年齢

を考えれば、ここから数年で一気に花開く可能性は十分あるとも言えます。

ひと言まとめ

「森や藤原と比べると、たしかに“遅れている”ように見える。
でも、キャリアのスタートでつまずき、ポジションに翻弄されながらも、
それでも前を向いて投げ続けている25歳の投手がいる――」

そんな視点で、これからの根尾昂を見てあげたいな、と個人的には思います。

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