大谷選手の歴史的契約を探る~代理人の意地~
長引いた契約
大谷選手はドジャースと10年契約を締結した。
背番号はエンゼルスと同じ「17」
入団記者会見は近日中に本拠地ドジャースタジアムで行われる予定。
ドジャースに所属する日本人選手で、大谷選手は10人目となった。
英文で「皆さんと、チームとともに、ロサンゼルスの通りで、ワールドシリーズ制覇のパレードを何度も行うという目標に向かいます」と公表した。
なぜ、スーパースター大谷選手はここまで、チーム選択に時間を要したのか。
メディアでもいろんな憶測が飛び交い、ワイドショーでもいろんなチーム入団の話が出ていた。
しかし、結局、ふたを開けてみると、本当に大谷選手らしい野球に対する一面が見られた。
入団が決まるまで、スポーツといえば、大谷選手の話で持ち切り。
スーパースターだからこその今回の長引いた契約。
そこを今回探っていきたいと思う。
代理人のネズ・バレロ氏と大谷選手との談話である。
最初はこの談話を見て、大谷選手はなんて大きなことを考える人なんだと直感で最初に感じたことだった。
この人は、今は自分のことより、チーム全体ひいてはワールド制覇のことしか考えていないのだと。
それほど、エンゼルスでポストシーズンに出場できなかったことが悔いを残したのだと思った。
そのエンゼルスに対しても、感謝の念を忘れていない。
古巣エンゼルスのファンと映った写真を添えて「ファンのサポートに感謝します」と記した。
総額7億ドル(約1015億円)の契約のうち、約97%にあたる6億8千万ドル(約986億円)は2034年~2043年の後払いになるそうだ。
なぜなのか?
年俸総額が基準額を超えた場合、球団に課される課徴金(ぜいたく税と呼ぶらしい)を避けるのが最大の目的だという。
課徴金を避ける意味で、契約期間中は年俸200万ドル(約2億9千万円)しか受け取らない内容になった。
2億円でも、すごい金額であるのに、ここまでくると、少なく感じてしまうのも不思議である。
チーム補強。
平均年俸はメジャー史上最高額の7千万ドル(約101億5千万円)に上る。
大谷選手は課徴金(ぜいたく税)を避ける狙いがあるにしても、関係者の話から、「彼は本気で勝ちたいと思っている」と語ったという。
選手側が契約を途中で破棄できる条項も入っていないという。
今、29歳で、その10年後は39歳。ドジャースで野球人生の現役を全うする考えなのだと感じた。
また、こんなことも。
後払いにしたのは、球団が補強資金を確保できるためだということだ。
さしあたりの大谷選手への支払いが猶予できるとなれば、球団にとっても資金が一時的に残る。その資金で他の選手の補強に回せるというのが最大のメリットだというのだ。
こんな契約は異例中の異例だという。スーパースター大谷らしい考えだ。
最も重要なこと
代理人のネズ氏。
詳細は分からないが、苦い経験をして今回、是が非でも大谷選手との契約は特大のものにしたがっていたという。
史上最高の契約を勝ち取ることが最重要で不可欠なものだった。
大谷選手のメジャー1年目の年俸は最低保障の54万5千ドルに抑えられた。
2021年にエンゼルスと2年総額850万ドルで契約。
その年にMVPを獲得し、「2桁勝利、2桁本塁打」を達成する大活躍。
結果的に850万ドルでは格安契約となってしまった。今季も3千万ドル。これも市場では割安感があったと言われる。
「メンツにかけて、来シーズンは妥協できない。歴史に残る契約をしないと代理人として失敗と言われかねない」
代理人ネズ・バレロ氏にとっては、大谷選手の大活躍の裏に、煮えたぎる意地というものが込みあがってきたのではないだろうか。
大谷選手の活躍も応援したい。だが、代理人としてのビジネスの意地もある。
プロスポーツ史上最大の契約締結までにこぎつけるには、余程の苦労があったのではないかと感じる。
だからこそ、徹底的に秘密主義を貫くことで、球団間の競争意識を高めたのもすごかった。
資金力のあるブルージェイズに大谷選手直接出向いて面談する誠意を見せ、条件引き上げを狙ったのだろう。
「ドジャースが最後の24時間で契約金額を1億ドルほど追加した」との報道もあるという。
代理人ネズ氏の戦略が功を奏し、予想をはるかに超える超大型契約に結実したのだった。
大谷選手は「年俸にこだわりが全くなかった」という。
ドジャースと面談した際に、育成方針やマイナー組織の状況を尋ねたとされ、チームの成功が長く続くかを知りたがっていたのではないかと分析する報道もあった。
それだけ、大谷選手は勝利にこだわり、ワールドシリーズ制覇に餓えているのだろう。
野球選手、いやアスリート全体の鏡だと思う。
別格の存在
6年もの長い間、所属したエンゼルスの本拠地には、日本企業の広告がずらりと並ぶらしい。
日本人ファンも大勢押し寄せた。
大谷選手のレプリカユニフォームの売り上げは今季、メジャーでトップ。
球団にとっても収入増加を見込める存在だった。
今は日本の人どころか、世界中が憧れる存在。
「野球界を変える契約だ」とある記者が語っていた。
まとめ
総額7億ドルの桁外れの契約を締結した大谷選手。
だが、内容は、自分だけのことを考えているのではなく、チームの勝利をしっかりと見据え、育成方針やチーム事情までも見据えた内容になっていたことを知った。
人間性までもが完璧だという人物であることが分かった。
ドジャースは今オフ補強に回す資金もあり。
日本のプロ野球からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す山本由伸投手らの獲得も目指しているとの報道もあり、あらためて驚いたと同時に、そんなことが実現したら、野球ファンにとっては、たまらなく嬉しいことではないかと感じた。
ますます野球人気は向上するし、経済効果も計り知れない。
アメリカ西海岸に人口が急増するのではという勝手な推測までしてしまった。
大谷選手が大活躍したからこそ、今回の破格の契約にこぎつけた代理人ネズ・バレロ氏。
通訳の水原氏も、来季からも通訳として契約したという。
周囲の環境も整い、あとは野球に専念するだけ。
今頃大谷選手もほっとしているのではないだろうか。
記者会見を心待ちにしたい。
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